政府観光局(JNTO)海外メディアツアーが身延を訪問

政府観光局(JNTO)では、海外メディアの関係者や記者を日本に招き、国内の観光地や観光プログラムを実際に視察・体験する取材ツアーをアレンジすることで、より魅力的な旅行紹介記事や番組がメディアに掲載されるよう支援する取り組みを進めています。これは、海外の一般消費者に対して影響力を持つ海外メディア自身の目線で、訪日旅行の魅力を発信することにより、より説得力のある訪日旅行情報発信を行うことを目的としています。

昨年の越前市・永平寺町に続き、今年は身延地域が選ばれ、去る10月16日(水)・17日(木)の1泊2日で在日海外メディアの記者の方々が取材ツアーにお越しになりました。また身延地域は、農泊のインバウンド受入重点地域でもあるため、農林水産省の農泊関係の幹部の方々も視察のために参加されました。(日本政府観光局(JNTO)主催 身延山久遠寺「門前町」の魅力を世界に発信 山梨(2024年10月16日掲載)|日テレNEWS NNN

第1日は、身延山総門地域の築90年の空き古民家を一棟貸し古民家温泉ホテルとして甦らせた「迎賓館えびす屋(迎賓館えびす屋 | 身延町の一棟貸古民家宿泊)」を見学したあと、身延山奥之院思親閣にお参りしました。特別に内陣に入れて頂き、別当様はじめ数名のお上人がたが、周りを囲んで渾身の修法を行って頂き、その迫力に一同圧倒されました。その後、久遠寺の諸堂の特別拝観をさせて頂き、身延山大学文化財修復工房にお邪魔しました。後継者育成が難しくなりつつある中で、国内だけでなくラオス等海外からも寄せられる仏像等の文化財修復依頼の実務を通して、技術継承を指導されている担当教官の方や学生さんたちを囲んで、熱心な質疑応答が続きました。

宿泊はインバウンドの人気を集めつつある宿坊覚林房で、伝統的な精進料理のお夕食を頂き、身延山大学の学生僧の皆さんによる雅楽の演奏を楽しみました。演奏者が少なくなる中、伝統を継承すべく練習に励む学生さんたちに、海外メディアの記者から楽器のこと、楽譜のこと、練習のことなど、たくさんの質問が上がり、熱気あふれる交流のひとときとなりました。夕食の後は、日蓮宗最大のお祭り「御会式」の万灯行列のハイライトを体験して頂くべく、覚林房の若上人が、お客様皆さんに団扇太鼓で参加して貰う中、自ら纏を振って、厄払いと招福の舞を渾身の力を込めて舞ってくれました。

第2日は、朝5時からの久遠寺の朝勤への参加から始めました。全身をなげうっての鐘撞き、諸堂を巡るお坊さんの行進、朝の空気を震わす大太鼓の響きに乗って、30名近くのお坊さんたちが一斉に読経する圧倒的な迫力に、初めて参加される記者の皆さんは感銘を受けていました。

朝食後、宿坊の女将直伝で、おにぎりと稲荷ずしを参加者自身で作り、お昼のお弁当として持って、GI(産地表示制度)登録の身延町特産のあけぼの大豆の畑に収穫体験へ。穫れたての枝豆を、今度は農家のおばあちゃんたちに茹で方を教わって、茹でたてをおばあちゃんたちと一緒に楽しみました。おばあちゃんはどこからお嫁に来たの?など、素朴な会話が弾み、楽しいひとときを過ごしました。

午後は、伝統工芸体験シリーズで、まずは西嶋和紙の山十製紙さん(手漉き(手すき)和紙の画仙紙・山十製紙)の工房にお邪魔しました。昔ながらの手漉き和紙の漉きと乾燥の体験をさせて頂きながら、古紙を利用したサスティナブルな手法が昔から行われてきたことや、デジタル版画という新しいアートを生み出しつつあることを目の当たりにし、伝統と未来の接点を見出して、驚いていました。

最後は、はんこのまち六郷で、篆刻体験を楽しんで頂きました。全国技能グランプリ優勝の経歴を持つ、甲州手彫印章の若き伝統工芸士の望月煌雅先生(TOP|伝統工芸士・望月煌雅)が、指導に当たってくださいました。海外メディアの記者さんのお名前を、漢字一文字で表現して篆字にデザインした印材を、記者さんご自身に彫って頂きます。先生が少しアドバイスをしたり、手助けを加えると、見事な作品に仕上がって行きました。世界にひとつだけのご自分の印章をお土産に、甲斐岩間駅から帰途につかれました。

二日間の滞在で、これほどまでに多様で濃厚な体験ができる地域が、東京のほど近くにあるとは知らなかった、と、記者の皆さんは一様に驚いていらっしゃいました。記者の皆さんの昂奮が、熱量そのままに、訪日旅行を考えていらっしゃる海外のお客様に届くことを期待しています。