車椅子ユーザーをお迎えして樹海ツアーを催行しました
1月23日、車椅子ユーザーのお客様をお迎えして、青木ヶ原樹海の富岳風穴、竜宮洞穴を巡るネイチャーツアーを実施致しました。
このツアーは、コロナ禍の2021年の東京オリンピック・パラリンピックで、河口湖の選手村から外出が禁じられていた自転車競技の選手団の皆さんのために、宿舎にいながらにして、富士山五合目や青木ヶ原樹海などの大自然をリアルタイムでインタラクティブに楽しんで頂くために開発した、リアルタイムオンラインツアーの仕組みを応用したものです。樹海の中に車椅子を停め、森の空気を五感で感じて頂きながら、ビデオカメラを携行して樹海の中を案内するガイドからの映像や、車椅子サイドのガイドの解説を楽しんで頂くツアーです。
当会の富士山北麓でのユニバーサルツアープロジェクトには、鳴沢氷穴・富岳風穴を管理されている富士観光興業株式会社様にも多大なご協力を頂いており、樹海の入り口や、富岳風穴の入り口まで、自然環境に配慮した砕石敷設で車椅子やベビーカーでもアプローチできるように整備してくださっています。今回のツアーも快くお受け頂きました。
催行前々日の夜に若干の降雪があり、樹海内のところどころに残雪や凍結が見られましたが、見事な晴天に恵まれ、気温も暖かく、絶好のツアー日和となりました。お客様は大学時代のスキー仲間の4名様で、60代になられた今もご一緒に旅行を楽しまれる、本当に羨ましいほど仲の良いお仲間でいらっしゃいました。スキーや山のご経験から、富士山の自然についても良くご存じでいらっしゃいましたが、地元のガイドのご案内で、見える世界がまた広がり、新たな発見を楽しんで頂けたようです。
樹海内の東海自然歩道の散策には、ご友人の皆様がガイドとご一緒してくださり、樹海内を楽しまれている映像を車椅子ユーザーのスマホにお届けしました。富岳風穴は洞窟の入り口付近まで車椅子でご案内し、溶岩洞窟の雰囲気を体感して頂きました。その後、西湖湖畔に移動し、竜宮洞穴をご案内しました。洞窟内には豊玉姫命・木花開耶姫命を祀る剗海神社の祠があり、龍神が棲んでいると言われる神秘のパワースポットです。車椅子ではアプローチできないため、ガイドがご友人の皆様と一緒に洞穴まで降り、ガイドの携行するビデオカメラからの映像を楽しんで頂き、スマホの映像を通して剗海神社に参拝して頂きました。ツアーの記念に、かつて富士講信者がお守りとして頂いた「牛王札(ごおうふだ)」の、江戸時代の版木から刷ったものを、お土産としてお持ち帰り頂きました。
この車椅子樹海ツアーは、コロナ禍の2021年に開発し、大手OTAにも商品掲載しておりました。運営スタッフや仕掛け(当初はドローン飛行も組み込んでおりました)が大がかりで、どうしても価格が高くなってしまい、車椅子ユーザー様やご家族のご負担が大きいために、販売を中断しておりました。しかし、今回のお客様のように、過去に催行したツアーの記事をネット上で探してでもお問い合わせくださるケースが今も少なくありません。今回は、仕掛けを簡素化し、お客様の費用負担をできるだけ軽減して実施してみました。行き届かないことも多々ありましたが、お客様には大変喜んで頂くことができました。
ユニバーサルツアーは、さまざま関係者の協力があって、初めて成り立つものです。困難は当然のことで、なんとかそれらの困難を克服できないか、を、関係者とのチームワークで編み出して行って、初めてお客様にお届けできるものです。こうして、表立って販売していないものであっても、探し出してでもお問い合わせを頂く車椅子ユーザー様がいらっしゃる限りは、ご提供を諦めてしまわずに、引き続き課題克服に取り組んで行きたいと改めて感じました。車椅子ユーザーや障碍を持つ旅人に優しい訪問地となるよう、引き続き努力して参りたいと思います。