世界的ヨガ導師が身延山に来訪、大本堂で世界各国からの100名の門弟と瞑想

4月8日は釈迦の生誕を祝う花祭りですが、今年、その特別な日に、インドの世界的ヨガ導師と、日本仏教三大霊山のひとつ身延山との「奇蹟のコラボレーション」が実現しました。

身延山を訪れたのは、国際的な教育・人道支援団体「アートオブリビング財団」(本部インド・バンガロール)創始者で、ヨガ指導者、平和活動家として世界的に知られる、シュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカール師。師は、1986年にインドのラジブ・ガンジー首相より「ヨガ・シロマニ」(悟りに達した崇高なる教師)の称号を贈られました。また、マハトマ・ガンジーの非暴力主義を受け継ぎ、宗教や文化的背景に左右されず、「平和」の一点のみを停戦の調停や和解協議の議題とする中立的な存在として、コロンビア、イラク、カシミール、コートジボワールなどの紛争地域で敵対する当事者を交渉のテーブルに引き出したことが評価され、2006年にはノーベル平和賞候補にもノミネートされました。

毎年世界各地で、「アートオブリビング財団」の指導者たちを集めた国際会議を開催していて、今年は日本を訪れていました。瞑想にふさわしい場を探す中で、身延山に行き当たり、インバウンドの評判の高い覚林房に、4月8日に場所を借りたい旨、インドの財団本部から直接打診があったものです。打診を受けた樋口女将は、釈迦生誕を祝う花祭りの日に仏教発祥の地インドから来訪されることに深いご縁を感じ、折角お越しになるならばご本山を舞台に瞑想をして頂けたらと、ご本山との調整に奔走され、ご本山も大きな行事の最中でありながら快く受け入れられて、この「奇蹟のコラボレーション」が実現しました。久遠寺の大本堂の内陣に、久遠寺のお上人がたが見守る中、シュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカール師が荘厳な須弥壇を背景にお座りになり、世界各国からの100名の指導者の方たちが静かに瞑想される様子は、宗教文化を超えたこころの平安が具体的な形をとって現れた瞬間でもありました。

100名のヨガ修行者に、こころしずかに瞑想できる場を提供することもさることながら、「胃袋」を充たすことも、大仕事でした。本場のヨガ修行者が納得するレベルの、本物のベジタリアン料理を100食も提供できる飲食店など簡単にはありません。そこで、精進料理の伝統にもとづいた料理でおもてなしを続ける覚林房に、修善寺温泉の老舗料亭旅館「柳生の庄」の総料理長を長く務めた懐石の巨匠、柴山祟志氏が伊豆から急遽加勢に駆けつけてくださって、この日は覚林房の厨房と食堂が身延山のセントラルキッチンに早変わり。覚林房の厨房を日頃から担ってくれている欧米各国からのワーキングホリデーの若者たちも加わっての「多国籍軍」が大車輪の活躍で、調理し、折詰に盛り込み、食事会場の久遠寺新書院にシャトル作戦で持って上がり、配膳しました。大奮闘の甲斐あって、本場のベジタリアンも大満足の食体験となり、口々に「これまでに食べたどんなベジタリアン料理よりも素晴らしい!」と喜んで頂けました。世界のヴィーガン/ベジタリアンのトップシェフたちが理想として目指しているのは、日本の精進料理と聞いたことがありますが、精進のまち身延山に、グローバルな未来がほの見えた気がしました。

当会では、身延にMICEを誘致することを目指して、取組みを始めつつありますが、現実のお客様の方が遙かに先行して動いているようです。世界各国からのMICEのお客様に上質な滞在体験をして頂けるよう、私たちも精進を重ねて行きたいと思います。